弥生の布を織る:機織りの考古学

竹内 晶子、1989年、東京大学出版会
(UP考古学選書)

3、編布(あんぎん)とはすだれのような編み方
4、古代の織り方は、平織、綾織、綟織(もじれおり)
5、古代の布の素材 クワ科の大麻、イラクサ科のカラムシ(苧麻)、イラクサ科のアカソ(赤麻)、マメ科の葛、クワ科のカジノキ(穀)、クワ科のコウゾ(楮)、それと絹
6、アマテラスが繭を栗に含んで糸を引くことができたという説話(日本書紀・神代)
21、機の種類、原始機、地機-上細井機、地機-古式布機、地機-布機、高機 この5種類の分類は太田英蔵(1960)小林行雄(1962)
30、筬(おさ)は経調整具として、または、経調整具と緯打具とを兼ねる、高機は後者 日本のものは竹製、ヨーロッパは葦が使用されていたのでreedと呼ばれる 筬は高度な製造技術が必要で貸し借りもあった 原始機では筬は使用しなかった
38、緯打具=杼(ひ)、原始機の緯打具は刀杼(とうじょ)ともいう 布幅+握る部分
41、地機は5世紀頃渡来人によってもたらされた
51、空引機(そらひきばた) 高機の一種 複雑な組織の錦など 渡来人 専門技術者集団 男性
53、縄文時代の布は編み布(編布) 弥生時代稲作技術などとともに機織り技術が伝えられた 佐賀県菜畑遺跡から編み布と織り布両方の土器圧痕 編み布は効率が悪く密度に限界があるが質の悪い糸を利用できる
54、熟練するまでに苦労はあるが誰でも技術を習得することが可能
58、弥生時代の機は「無機台貫刀杼機」とよばれる原始機で弥生機とも呼ぶ
65、『魏志倭人伝』で倭から魏「異文雑錦」が貢献された記述。弥生機で錦が織れるか? 高野昌司・角山幸洋の実験 錦の定義=平織り以外、2色以上、文様 複数の人間でたいへんな手間をかければできなく無い
69、古墳時代 錦や綾 高度に専門的限られた技術者 各工程が専門職人、分業化、工房 多くの人は弥生時代の技術で日常の布を作った
72、祭祀用のミニチュアの金銅製模造品の、紡錘・紡輪また、麻筒(おおけ)
82、古墳時代前期:縑(かとり)、筬筋(おさすじ)のある平絹、絹とカラムシの交織物 古墳時代中期:経錦(たてにしき)、綾、縞あるいは絣布、天蚕と家蚕お綴織りの交織物、縒紐 奈良時代:刺繍、羅、縮緬、絁(あしぎぬ)、レース編み、組紐
84、布を裁断する→鉄製のはさみ 半円形部分のある握りばさみ=中国や朝鮮に多い形 大型の物は馬のたてがみを刈る? 針:骨製、古墳時代には鉄製のものが加わる 火熨斗=銅製、フライパンのような形、炭を乗せて使う=アイロンのような物、縫い目を押さえたり裳のひだを作る