都市の論理―権力はなぜ都市を必要とするか

都市の論理
藤田弘夫、中央公論社、1993年。
都市社会学のレポート参考文献。この本は凄いわ。歴史認識にとても役立つ。

  1. 都市は権力が造った。都市ができたからそこに権力ができたのではない。
  2. 権力とは犠牲と引き替えに幸福を保障する。幸福とはまず食糧と安全。
  3. 主な権力の種類は政治、宗教、経済、そして教育、娯楽、医療がある。
  4. 農村は「社会的余剰」で都市に人や物資を供給する。都市は農村の犠牲の上に成立。
  5. 権力はまず施設を必要とし、次に意味を必要とした。
  6. 都市は新しいルールを作った。

序章 都市と人類の発展―人間の鏡としての都市―

1万華鏡としての都市 2食糧問題のパラドクス

7、人間の敵は他の人間。12、産業革命によって都市が膨張、都市化。13、世界史は都市の歴史。19、農村と都市の飢餓。

 

第一 都市とはなにか

1都市の概念 2都市の理論

28、都市の法的区域と住民生活の実態=乖離。30、都市=大集落、都市=共同体(コミューン、ゲマインデ、コムーネ)、市民、自治。34、都市のデメリット:環境衛生、病気、災害とくに火災。37、一人の人間の「食用食糧」の量は一定。農作物の価値=生産が困難→自然条件克服。価値の高い作物=栽培に向いてない=不作になりやすい。40、穀物は人間以外も消費。農民は多くの貨幣獲得のために食糧を生産している、飢えた人々のためではない。41、農村の余剰を都市が消費するのではない。余剰は都市が「社会的に」作り出す。年貢など。45、農村が飢餓でも「絶対的余剰」がなくても都市は食糧を調達。権力の存在。都市が飢餓に陥るのは権力の活動ができなくなる戦争のとき

3権力の概念

46、権力=ある社会関係の内部で抵抗を廃してまで貫徹するすべての可能性」ウェーバー、自己の意志に反して他者の意志が押しつけられる可能性。47、欲求を中断<=>保障、善。4権力の論理

49、欲求を充足するために自分以外の人的、物的資源を動員。一人で生きていても社会的存在。人的、物的資源の欠如。人的、物的資源の支配し欲求の充足を保障=権力。50、家族も権力。安全=政治、衣食住=経済、幸福=宗教。52、権力は人々の欠如のためではなく、自己が動員できる資源によって充実させようとする。(権力側に合わさせるということ)。権力が自己の存在を確かなものにするため。53、欲求に特定の規制→特定の充足。権力の目的=特定の欲求の充足54、個人的は実現できない目的の達成。支配には敏感だが保障は自覚されにくい。55、保障のためには支配が不可欠。

 

第二 都市の建設―都市形成の理論と権力―

1権力と都市の形成

58、食糧確保災害避けるためには離れて暮らした方がよい。危険を冒しても集まって住む目的=保障。権力は活動を安定させるために機関化施設も必要。60、都市は権力が形成した。ある機関が他の機関を必要とする→統合。61、統合機関=権力が都市を構成した。都市を形成するために権力が創出されたのではない。62、物理的に都市を造るのはたやすい、同意(合意)を得るのは困難。64、新都市建設は権力の判断。66、都市の建設(新規)と膨張は違う。

2都市と農村の関係

68、農業の発明→農耕集落=自給自足の村落=まだ農村ではない。都市は生活資料を生産しない→村落から農村へ。69、「地方」を意味する言葉は軍事的支配、たとえば軍事管区や郡=軍。70、権力で統合された村落=農村。

3都市とコミュニケーション

77、都市と地方の間の交通。政治権力=軍隊の派遣=道路の建設。通信網。79、鉄道。

 

第三 都市の威容―舞台としての都市―

1安全と都市生活

84、都市は城壁で囲まれていた。85、安全の確保。人間の敵は他の人間。安全は物理的暴力によってしか保障されない。ポリスは避難用の要塞アクロポリスを指す言葉。86、ブルグ、ブーグ、バラ、チェスターも要塞という意味。中国でもインドでも同様。87、大砲の発達で城壁とは別の形態に。88、中国では城郭都市が国、國という字は城郭文字。89、近代国家の都市に城壁はない、その代わりが国境警備。

2象徴としての都市

90、権力の拠点=意味世界の中心。91、宗教やさまざまな世界観にもとづく都市建設。93、パリ大改修、バロック的(絶対王政、権力崇拝)な都市計画。ムッソリーニのファシスト都市(ローマ)、ヒトラーのベルリン改造計画、共産主義、社会主義の都市づくり。94、第二次大戦後のブラジルやアフリカ諸国の首都づくり。

3記念碑としての都市

95、都市の象徴となる建造物。95、神殿、王宮、公共施設=権力の象徴。権力を記念する碑、像、廟。「権力は建造物の姿を借りて、人々の前に姿を現そうとする。」96、権力は力と正当性を誇示。97、漢の高祖エピソード、『天下はまだ定まっていないからこそ壮麗な宮殿をつくるべき。』100、資本主義の発展=インフラ・ストラクチャーの整備、鉄道、道路、橋。→政治・宗教=建造物vs経済的権力=生産・流通の施設(はじめは)。104、間接統治、一時的な統治=借り物の建物。

4都市の建設とその代償

108、権力を誇示するための建造物が権力を疲弊させる。税金や労働の負担が反乱を生む。110、資本主義の発展と植民地。植民地の都市:入り口であり出口。116、都市の放棄=施設の放棄、権力は放棄しない。118、都市の建設や維持は負担。

 

第四 上演されるドラマ―人間・国家・秩序―

1見せびらかしの権力

120、儀式=権力を聖化、権力の意味を確認。121、神の声、天の声、議会の声、選挙民の声、声なき声。国会や株主総会も儀式。122、政治権力の意義:平和を脅かされているとき=明らか、平時=意識されない、むしろ嫌がられる(徴税など)。権力の存在を意義づける=儀式、貨幣、暦。123、秩序、礼。125、絶対王政。フランス革命における祭典。迷信の排除。理性。国民国家。民族:初等教育の制度=国語、歴史。126、ナチスやスターリン共産党の例。128、エチオピア旱魃の中での革命10周年祭=国際的非難。「人類の普遍的価値たる民主主義」。129、権力=施設の占拠→マスメディア・報道の掌握

2権力と民衆

132、民衆は権力=国家や企業の存在意義など考えたくない。議論よりも命令を欲する。権力の動向に集中していられない。娯楽が欲しい。133、権力は食糧を保障してくれるが、犠牲はつきもの。138、政治権力の優劣は民衆の生活の快適さ=食糧。

3権力と民衆の劇場

139、ルーマニアの例。141、民衆の攻撃に対抗するパリの都市整備。東大安田講堂=経行く権力の象徴。東京の歩道のブロック=民衆(学生)の武器。143、天安門広場。記念碑的建造物は権力の大道具。9.11を彷彿させる…

4都市の反乱と農村の反乱

144、農民:あきらめ、都市民:うわさ。社会問題。148、地方の反乱で国家権力は崩壊しない。149都市の民衆の反乱は国家権力が転覆する。イラン、フィリピン、東ドイツ、チェコ、ルーマニア、ソ連…。151、都市の黒人、アメリカ、南アフリカ。

5都市と国家

153、農民の不満は潜在化、都市の不満は顕在。154、権力は都市民衆の動向を監視。155、都市の自治。都市全体を統括する統治組織。156、首都=特殊な都市。158、都市の飢餓→権力の正当性を疑わせる。159、兵糧攻めによる国家権力転覆。

 

第五 都市の思想―都市的人間と反都市主義―

1都市的人間と都市問題

164、都市:革新的、開放的vs田舎:保守的、閉鎖的。165,都市は儀礼の場であると同時に例を省略する(失礼)が許される。167、都市のルール(解放して統合する)→制度化→法制化。ルールは都市で生まれる、作られる。その受け容れに対して農民は頑固な態度。168、都市問題の多くは農村でも同様に起こるが量が違う。169、都市:発想の逆転。忌み嫌われた物→新しい文化。例:同性愛など。

2都市の病理

171、都市的価値観。道徳的退廃、悪徳。172、都市の奢侈、堕落。ローマ、中国、イスラーム、日本…すべて。173、社会病理。176、資本主義=生活保障からも「自由」→失業と貧困→社会主義。

3壮大な実権

178、社会主義=都市の否定。社会主義、共産主義にも拠点が必要=都市。180、カンボジアのケース。共産主義勢力クメールルージュ(ポル・ポト軍)の大下放=都市から農村へ。184、都市=権力に必要なルールを正当化。都市を否定=ルールの行使は暴力。185、農村から農村を統治するのは不可能。権力分散=分権的統治、例:封建制度。

 

終章 都市論の新たなパラダイムを求めて―都市へのもうひとつの視覚―

1都市と人間

189、都市は現代文明を育んだ。190、第三世界の首都=近代化のシンボル。ルールを正当化=威厳と未来。192、先進国が途上国に望む物=農作物、林産資源、鉱産資源など一次産品。農村の荒廃→農村人口都市への流入→大都市周辺のスラム。スクォッター(無規制集落)。193、先進国の都市、繁栄。194、大都市=投資の集中。「今日、先進国と途上国との貿易は、きわめて精緻に組み立てられたルールにもとづいて行われている。その技術的合理性は、搾取される人たちにとってすら”正当”だと思われるほどのものである。」195、スクォッターでの生活を意志決定した。農村よりはマシ。スクォッターの社会秩序。196、先進国大都市の飢餓やホームレス。197、それでも飢餓は農村。都市のホームレスの方がマシ。農民も国家権力の構成員=農村への補助。198、先進国から途上国への援助=都市を経由=農村に届かない。

2都市と権力

199、都市は巨大な権力が目的を達成する拠点。権力の集積地。施設。200、都市の繁栄=国家の繁栄。例:ローマ、長安、バクダッド、東京。202、都市の衰退=都市を構成する権力の人的、物的資源の統合能力の低下。204、資本主義的企業の盛衰。都市の過剰人口=失業。

3権力と人間

212「権力は外部のみならず、その内部にも激しい競争が宿命づけられている。つまり、人間はこうした多種多様な権力の主体であると当時に、その客体を通じて、社会的存在となっているのである。」権力→保障←教育=能力、知識。産業化。214、かつては人口=国力。216、人口の増大=貧しさの増加。